研究テーマ

現在、研究室で取り組んでいるorこれから取り組みたい研究をテーマ別に(一部)紹介します。
なお、以下は概要のみ示しています。関連するサブテーマは他に複数あります。

沖縄県におけるデジタルコンテンツの自主流通基盤を実現するためのコンテンツデリバリーシステムに関する研究

沖縄県は、マルチメディアアイランド構想を始めとする地域への情報関連産業の誘致や人材育成などの政策努力によって、情報関連産業事業者およびその従事者が徐々に増加している。その中で、コンテンツ関連産業に取り組む事業者も増加しており、沖縄県にまつわるデジタルコンテンツが数多く制作されている。ここで、コンテンツ関連産業においては、コンテンツを流通させる仕組みが重要である。現在の一般的なコンテンツ流通方法は、膨大なコンテンツを抱える大手コンテンツプロバイダーが、主に自社のポータルサイト経由で利用者にコンテンツを提供し、個別に課金する仕組みが主流であり、コンテンツ流通市場は大手コンテンツプロバイダー単位に区切られているというのが実態である。本研究開発では、コンテンツ流通市場の閉鎖性を解消し、地域の小規模コンテンツ事業者の市場参入を容易にするため、特に利用者認証、課金、著作権保護に着目して、沖縄マインドを集結する沖縄版総合デジタルコンテンツ流通プラットフォーム「沖縄デジタルコンテンツエクスチェンジ(ODCX)」の研究開発を行うことを目的とする。本提案を実現することによって、沖縄県のデジタルコンテンツ産業が抱える諸課題(新規ビジネスチャンス獲得、流通手段開拓、等々)を解決し、デジタルコンテンツ産業の活性化が期待できると考えられる。

リアルタイムビデオストリーム通信の高品質化に関する研究

近年、ブロードバンドネットワークの普及によって、大容量の通信が可能となり、動画・音声通信がインターネット上で一般的に行われるようになっている。一方、通信回線の広帯域が進んでいる反面、それ以上に通信トラフィックが増加してネットワーク負荷が増大し、リアルタイム映像など高い通信品質が求められる通信アプリケーションに対して、安定的に品質保証を行うことが(インターネットの構造上の問題からも)困難になっている。そこで、我々は、DV(Digital Video)やMPEG(Moving Picture Experts Group)といったエンコード技術によってデジタル化されたデータを通信する際に一般的な品質保証手法であるFEC(Forward Error Correction)やARQ(Automatic Repeat reQuest)、Path-Diversityなどと、トランスポートレイヤの輻輳制御やフロー制御といった通信制御を協調制御し、ダイナミックに変化するインターネット品質状態に影響されにくい、安定したストリーム通信を実現する手法を開発している。本研究によって、End-to-Endの通信制御のみで(途中ルータでの明示的な制御を必要とせずに)実用的な通信品質を確保し、動画や音声などのリアルタイムストリーム通信を安定的に行うことが可能となる。

統合型汎用高速・高品質トランスポートプロトコルに関する研究

現在、多くのインターネットアプリケーションが使用しているトランスポートプロトコルはTCP(Transmission Control Protocol)およびUDP(User Datagram Protocol)である。しかし、近年では、大容量ストリーム通信の増加や、P2P(Peer to Peer)アプリケーションの登場などによって、インターネットトラフィックの特性(トレンド)が大きく変化しており、これらのプロトコルを使用する上でさまざまな問題が起こっている(例えば通信遅延やデータ損失、プロトコルやフローごとの公平性保証問題など)。これらの問題の根本的な原因は、輻輳制御やフロー制御の仕組みが異なる多数のプロトコルが混在してネットワーク上を流れることにあると考えられる。この問題を解決するため、我々は、TCPやUDPに代わる新たな汎用トランスポートプロトコルの開発を行っている。本研究によって、TCPやUDPといったプロトコルを使い分けることなく、単一のプロトコルでアプリケーションごとに要求される通信品質を確保し、さらに回線帯域の効率使用が(無駄な再送の低減などによって)可能となる。

P2Pシステムに関する研究

近年、P2P(Peer to Peer)技術はインターネット上のデータ交換技術として注目されている。実際に、P2Pアプリケーションによるトラフィックは、WWWトラフィックを抜いて、インターネット上で最も大きなものになっている。P2Pは、狭義の意味では、WinnyやWinMXに代表されるようなファイル交換アプリケーションによって形成されたネットワークを指すことが多いが、昨今、このようなファイル共有アプリケーションが著作権を侵害する行為に利用されるケースが多くなり、特に著作権関連企業・団体からの批判や攻撃の対象となっている。しかし、P2Pは、従来のクライアント・サーバモデルとは対照的に、P2Pネットワークに参加するコンピューターが同等または類似した役割を対等に担うという特徴があるが、ファイル共有アプリケーションのためだけの技術ではない。この特徴を用いた良例としては、IP電話やSkypeなど、さらには、Net Newsの配信もP2Pモデルであり、他にもP2P技術による有用なアプリケーションは多数存在する。一方、P2Pはまだ発展途上の技術でもある。例えば、P2Pの中でも「ピュアP2P」と呼ばれるネットワークモデルは、クライアント・サーバモデルとは完全に異なり、P2Pネットワーク内の各ノードが(サーバに頼らずに)自律的に網構造を把握してデータを送受信する必要があるが、その際のデータ検索や送受信のための経路制御には改善の余地が多い。本研究では、P2Pの基本技術の改善、および、P2P技術を用いたアプリケーション開発など、P2Pに関する幅広い研究を行っている。

地域インターネットエクスチェンジ(IX)に関する研究

現在の日本のインターネット構造は、基本的に全てのトラフィックが東京・大阪を経由して交換される集中型となっている。このため、災害や途中経路の障害などによって、隣のビル同士の通信であっても通信が途絶してしまうことがある。そこで、近年では、地域のトラフィックは地域内で閉じて交換しようとする動きが出ており、これが地域IX(Internel eXchange)と呼ばれるものである。我々は、実際に沖縄県に沖縄インターネットエクスチェンジ(OIX)を構築し、OIXを研究基盤に他の研究テーマの実証実験を行っているほか、IX運用を始めとするさまざまなネットワーク・オペレーション技術に関する研究を行っている。(今後、OIXは全国規模の実験プロジェクトであるRIBB(地域間相互接続実験プロジェクト)に参加し、全国の地域IXと相互接続することによって、大規模な経路制御技術(BGP4,MPLS,etc.)に関する研究も行っていく予定である)

インターネットセキュリティに関する研究

ネットワークの普及に伴って、セキュリティ問題が重要視されている。例えば、不正アクセスや攻撃によるシステムダウンなどの被害が近年急速に増加している。この問題に対処するため、IDS(Institute of Development Studies)を始めとするさまざまな技術が提唱されているが、攻撃パターンの多様化や誤検知による弊害など、幾つかの解決困難な課題がある。そこで、我々は、IDS技術を基本とした不正アクセス・攻撃検知システムを開発している。具体的には、単に異常を検知するだけでなく、過去の傾向から不正アクセスや攻撃パターンをデータマイニングし、GA(Genetic Algorithm)やニューラルネットワーク、強化学習などの知識学習アルゴリズムを利用してダイナミックに変化する不正アクセスや攻撃を推定することによって、それらを未然に防ぐためのネットワークベースおよびホストベースのセキュリティシステム(自己防衛型サーバ・ネットワークシステム)を開発している。

通信データの暗号化・符号化に関する研究

近年、暗号技術によってインターネットを使った通信が安全に行えるようになっている。しかし、現在使用されている数学的困難性を利用した暗号法は、何らかの解読法が存在し、計算機の演算速度やアルゴリズムの進歩によって近い将来一定時間以内に解読される可能性がある。これに対して、カオス暗号や量子暗号など原理的に解読不能な手法も存在するが、これらは実システムへの実装の困難さからエンドレベルに普及するにはまだ長い時間を要すると考えられる。そこで、我々は、既存の暗号技術をベースにそれらを組み合わせたり、計算ロジックに改良を加えることによって、実システムへの実装が容易でセキュリティ効果が高く、ストリーム通信などのリアルタイム通信にも対応可能(=軽量)な暗号システムの開発を行っている。

移動エージェントによる自律分散システム管理に関する研究

世の中にはさまざまな分散システムが存在する。例えば、無数のルータやコンピュータが接続されたインターネットも巨大な分散システムと考えることができる。これらのシステムは、時代とともに大規模化・複雑化が進み、従来の手動あるいは静的スケジュールによるシステム管理が困難になっている。そこで、この問題の解決方法として、移動エージェントを使った自律分散システム管理が考えられる。移動エージェントとは、ネットワーク上に存在するシステム間を移動して、必要な処理を自律的に実施するための機能であり、内蔵するプログラムによってさまざまな条件判断や処理を行うことができる。我々は、移動エージェントの持つ利点を生かし、自律分散システムの管理コスト削減を実現するほか、移動エージェントの持つ信頼性や安全性の欠点を解消するための研究を行っている。

WWWキャッシュシステムに関する研究

WWW通信はインターネットトラフィックの中で大きな割合を占めるていることは良く知られている。WWW通信はその特性上、同一ページを複数ユーザが閲覧することによって、重複したデータ通信が行われる。この重複通信を削減することによって、インターネット全体のトラフィック負荷を軽減することが期待できる。この効果を目指したものとしてWWWキャッシュシステムがある。我々は、キャッシュ置き換えアルゴリズムや、モバイルエージェントを活用したページオブジェクトの先読み、さらには、分散キャッシュシステムやクラスタリングキャッシュシステムによって、WWWキャッシュシステムの性能を改善(WWWトラフィックの削減やレスポンスタイムの向上)する研究を行っている。また、スタティックなコンテンツだけでなく、近年急速に増加しているP2Pアプリケーション通信や大容量ストリームコンテンツ、アクティブコンテンツなども効率的にキャッシングする手法を開発している。

インターネット品質計測に関する研究

近年、インターネットはメールやWWWの利用だけではなく、電子商取引、医療、行政、教育など、さまざまな場面で利用され、重要な社会基盤として位置付けられている。また、電話や企業内・企業間通信など、通信インフラとしてインターネット技術が利用されるようになってきている。一方、インターネットは、ベストエフォートという言葉に代表されるように、通信の信頼性や品質について一定の基準がないのが現状である。今後、インターネットが社会基盤としての役割を担っていくためには、より信頼性の高い、堅牢なネットワーク技術が求められている。そこで、本研究では、インターネットにおける通信の信頼性や品質を計測し、そのデータを経路制御やQoS(Quality of Service)制御に活用することによって、通信の信頼性や堅牢性を確保するための手法を開発している。

無線LANのインターネットインフラ利活用に関する研究

現在のインターネットは主に有線リンクによって形成されている。一方、近年では無線LANに代表される無線リンクが実用化され、エンドユーザレベルにも急速に普及している。古くから存在する有線リンクは、その帯域が数Mbpsに満たない場合もあるが、無線リンクは10数Mbps以上の帯域を有している。そこで、我々は、モバイル通信におけるアドホックネットワークを活用した、有線/無線リンクを透過的に扱う新たなルーティグ手法の開発を行っている。本研究によって、インターネットの柔軟な構築が可能となり、災害や回線障害時に無線LANリンクを使った動的な迂回路を形成することが容易になるだけでなく、古いネットワークの帯域ボトルネックを軽減した高速なネットワークを構築することが可能になる。

GPSを使った観光ガイド機能付き携帯端末に関する研究

沖縄には毎年500万人以上の観光客が訪れるが、それらの観光客にGPS(Global Positioning System)による位置情報認識機能および観光ナビゲーション機能を付加した携帯端末を提供する。これによって、行く先々の観光地の観光ガイドを表示したり、車などでの移動中もバスガイドのような観光案内(ボイス機能などを使って)をする機能を付けることによって、観光客が沖縄観光をより楽しむための支援(ナビゲーション)が可能になると考えられる。また、この携帯端末にはメールやWeb機能も搭載して利便性向上を図るだけでなく、ネットワークをIPv6(Internet Protocol version 6)ネイティブとすることで、IPv6の持つモビリティを最大限に有効活用する。さらに、使用履歴から観光客の行動パターンを分析することによって、その結果を今後の観光インフラ整備に活用することが可能になると考えられる。(GPS対応端末はすでに安価に入手可能であるから、低コストで実用的なシステムが構築可能である)

情報技術(IT)の教育分野への活用に関する研究

情報技術(IT:Information Technology)の発達や普及によって、学校教育現場においても情報活用能力の育成が求められており、実際に、e-Learningシステムなどさまざまな教育システムが学校に導入されてきている。しかし、教師が情報システムを活用して教材コンテンツを開発する場合、操作性や開発時間などの問題で積極的にシステムを活用されていなかったり、すでに作られた教材コンテンツがあっても個々の教育実態に適合していないなどの問題があり、実際には有効な情報教育システムや手段はいまだ確立されていないのが現状である(特に、初等教育にはe-Learningは殆ど浸透していない)。そこで、我々は、実際の教育現場と連携し、さまざまな情報技術(IT)を駆使した教材コンテンツや教育支援システムを開発し、効果を検証することによって、現場の実態やニーズに即した教育システムの実践研究開発を行っている。

情報技術(IT)の福祉分野への活用に関する研究

さまざまな障害によって積極的に社会参加することが困難な人々が存在する。それらの人々に対して、情報技術(IT)を活用した社会参加支援システムを構築し、それによって形成されるコミュニティが実際にどのように機能し、個々の人々にとってどのように役立つものになるかを検証する。さらに、構築したシステムの機能面だけでなく、システムやコミュニティを活用するための社会的な基盤や枠組みの整備・必要性に至るまで幅広く検討する。(ITありきではなく、社会の実態に合わせてどのようにITが活用されるべきかを考える)

その他

長田研は、ネットワーク技術に関連するテーマを幅広く取り扱います(上記のテーマはごく一例に過ぎません)。常に新しい技術動向に着目し、さらにそれを発展させるための研究を行っていきます。また、環境や福祉、教育といった、社会で今後ますます重要視される分野の研究開発など、社会的なテーマにも取り組みたいと考えています。(ネットワーク技術にちなんだ研究テーマであれば、持ち込みも歓迎します!)

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Last-modified: 2014-04-21 (月) 11:11:28 (1460d)